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陶芸家「森岡 成好 (もりおか しげよし)」氏。

取扱い作品:「南蛮焼 / 南蛮焼締」

陶芸家「森岡 成好 (もりおか しげよし)」氏。_d0333947_12072054.jpg

和歌山県かつらぎ町 天野。高野山の麓(ふもと)にある天野を拠点に 南蛮焼締 をライフワークに活躍する「森岡 成好 (もりおか しげよし)」さん。

高野山の工房で焼き物を学び、独立の後、韓国の慶州で焼き物のさらなる素晴らしさを体得。帰国後、高野山 天野 にて築窯、工房を開かれました。

また、種子島では「南蛮焼締」に開眼し、沖縄の窯場を訪ね、その後、焼き物の技法をさらに極める為に世界中(北米・中米、東南アジア、台湾、韓国など…)の焼き物を訪ね歩き、現地に根付いた技法を習得されます。

そして、全ての成果を凝縮した作品展を 国内外で開催。81年、ニューヨークのアーロン・フェイバー・ギャラリーにて個展を開催した際には、大壺 が ニューヨーク近代美術館 の「パーマネントコレクション / 永久展示作品」として選定され、海外での評価も得て、82年から83年にかけては、インドネシア、インド、スリランカなどを訪ね、さらに陶芸を学び、研鑽を積む…。

その 森岡氏 の作風である「南蛮焼」とは「焼締」も含め「灰釉」「黒釉」「白化粧」「鉄釉」「透明釉」「刷毛目」などなど、その作風は幅広く広義な上での「南蛮焼」を制作する作家として知られ、これは、森岡氏 自身が世界中の焼き物を訪ね歩き、現地の技法を学び研究したところ、現代の日本では、無釉薬の「炻器(せっき)」や「焼締」のような作風が「南蛮焼」と定められ、思われがちだが、実は歴史上、当時いろいろな「施釉(せゆう)物」も 南蛮国 では 作られており、特に安南(ベトナム)焼など、当時の日本人 (特に 茶人) の「嗜好(しこう)」に合った「施釉物」が日本に渡来し、森岡氏は、その南海の現地まで探索し、技法を学び経て「南蛮焼」とされています。

この 森岡氏 の 探求心 と 教養の深さ には感銘を受けるばかりですが、狭い日本という島国にありながらも、世界中の 南蛮焼 の技法を取り入れた 森岡氏 の 作品 は 偉大 であり、故に多くの陶芸家が魅了され「森岡窯 / 工房」に訪れるのも納得するところです。

また、その工房にも注目するところで、森岡氏 の 窯 は「勾配 / 傾斜」が緩く「鉄砲窯」のように 長い 窖窯(あながま) が 2 窯 あり、大きいほうの 窖窯 は「焼成(しょうせい)時間」が 9 日で主に「焼締」を焼き、小さい方の「スコタイ窯」は 6 日間の焼成で、焼締の他に「灰釉」「黒釉」「白化粧」等 の「施釉物」も加わり、その他に「倒炎式」の 窯が 1 窯あり、主に 白磁、灰釉 等の「施釉物」を 焼く 薪窯 が存在する。そして、全ての窯が大きい為、工房の敷地内が焼き上がりの作品群で、一杯になるまで敷き詰められ、そのスケールの大きさにも驚かされます。

特に大窯焚きの 9 日間 焼き続けられる際は、火を絶やすことなく、森岡夫妻 を初めとした、お弟子さんやお手伝いに来る方々で交代し、24時間、窯を守り、自らの背の何倍もの高さに積まれた 薪 を 窯にくべ、みるみる減っていくその量は、なんと、25トン。

窯の温度は1000℃を超え、窯のダンパーを閉じると窯窓からは激しい炎が吹き出す。しかしながら使う土の耐火度が低い為、陶器の焼成温度としては、比較的、低めの温度ではあるが、その分、長時間 焼成し続けることで、カロリーを与え、土を焼き抜いた向こうに生きる自然性(自然釉)がその作品の本質であり、芯まで焼き締めることが出来る。

その長時間、低温で焼成された焼締は「緋色(ひいろ)」と共に「雑味」も出て、とても深い土色と燻(いぶ)されたような銀色に輝く光沢の美しい仕上がりとなる。

また「スコタイ窯」で 6 日間の焼かれた「施釉物」も 轆轤(ろくろ) で気持ちよく挽(ひ)かれた形に、とろりと掛かった 釉薬 が 暖かい色合いとなり、高台には「梅華皮(かいらぎ)」が出て 井戸茶碗 のような仕上がりで、豪快ながらも美しい佇まいを見せてくれる。

そして、使用されている「土」へのこだわりは、須恵(すえ)器にも使われてきた 平野の麓(ふもと) を流れる「紀の川」筋から採掘された コシがあり、粘り気のない土を使い、また、山から採掘された地元の土の場合は、敢えて 精製せず に生土のまま使うなど「土作り」から勢力的に作り続ける程のこだわりで、さらに「地元の土」以外にも、2010年には「八重山古陶」の復活を目指し、沖縄の「石垣島」に工房と鉄砲窯を築いて「焼締」を始めとした「黒釉」「灰釉」「透明釉」などの 南蛮焼 の「生活雑器」を制作する場を築窯。使用する土も、石垣島の「大里土」「川平(かびら)土」「宮川土」の土を採掘し、釉薬も古くから使われてきた現地の材料を元に製造する等、各地の素材を探求し、研究する森岡氏。

古い時代の器をベースにしながらも、単なる外見的な形を写すのではなく、その根元にあるものを基に作品を生み出す、森岡氏は「若い頃は窯に翻弄されて、中年にはねじ伏せて、これでもかと戦ったこともあったが、髪に白いものが混ざる頃から自然に窯に付いていけるように窯任せになった、今まで何百回と焼いたからかなぁ…」と、40年以上、作り続けてこられたならではのお言葉…。

教養豊かで栄誉を求めず、飾らない人柄から生まれる作品は、作為的なものは感じられず、それでいて人を惹き付ける魅力があり「土作り」から勢力的に作り続けた作品の数々が、使い手の思いに応えるように、使い込むほど深い味わいを与え、器を育てる喜びを教えてくださいます。

まるで、地球から生命力ある、たくましい息吹が焼き込まれたような 野趣溢れる 森岡氏 の作品。そのスケールの大きさを、是非、皆様にも感じて頂きたいです。

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by salondedeuxh | 2017-04-04 12:17 | 取り扱い作家

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